小川誠子先生
この先生はテレビとYouTube以外で拝見したことはない。
棋譜も一局も見たことがない。
しかし、一番尊敬するプロ棋士である。
この先生との出会いは、これまた古い。
私が小学生の頃、父*1は日曜、用事がなければNHK杯囲碁を見ながら寝るのが週課だった。裏に面白い番組がある訳ではなく、子供はなにの不満もなかった。一度中学生の折、兄のカブで庭を試走していたら、
うるせえ 、いいかげんにせい!
、なんだ、お前か。兄かと思った(気にするな)
という、珍しい父の怒声を聞くことがあった。勿論、私は恐縮した。
私は囲碁はルールしか知らず、小川先生の顔は覚えたがなんだか知らなかった。
父は我々に囲碁のことは言及しなかったが、一度だけ
今日の碁は面白くない。
と口にしたことがある。私は盤面を見ても意味不明だった。
後にYouTubeで数本拝見した。素晴らしい番組達だった。聞き手に徹する小川先生は輝いていた。
学生時代、僕はまだ囲碁を知らない。
ある年、小川先生が囲碁講座「呉清源21世紀の囲碁を語る」?で聞き手役をしていらっしゃるのを拝見した。
これがまた、いつもの囲碁講座以上に、囲碁知らずには何やっているのかわからない番組だった。今から思えば、動いている呉清源を記録するための番組だったに違いない。
小川先生が聞き手に徹している様子は囲碁知らずにも十分に分かった。
後に聞いた話によると、呉清源の聞き手が勤まる人は数少なかったようだ。
勝負碁に関しては先にも書いたように知らない。
強かったことだけは確かなようだが、今回書いたこととは余り関係がない。しかし、聞き手小川先生に対する上位者である解説者の敬意が滲み出ていた。